2024年能登半島地震に伴った輪島市門前町八ヶ川河口部外浜部の隆起
2024年1月1日午後4時10分に発生した2024年能登半島地震(M7.6)に伴って能登半島北岸に沿って海岸線の顕著な隆起が見られた.とくに輪島市門前町鹿磯周辺では漁港防波堤壁に残された旧汀線を示す海棲生物遺骸の分布高度に基づき3.8∼3.9mの隆起が確認された(宍倉ほか,2024).
鹿磯・川河口から黒島・高島を経て藤浜にかけての約4.5km連続する海岸に沿った浅海底は,2024年能登半島地震に伴って隆起した.写真中央の黒島漁港は完全に干上がっており,少なくとも3 m以上の隆起が確認された.砂浜海岸(写真中央下より)に位置する八ヶ川河口部では浅海底が隆起し.海岸線が150m程度海側へ前進した.新旧の汀線間には現汀線よりの微高地(明灰褐色部)とその内陸側に伸びる溝状の低地(暗灰褐色部・小水面部)が汀線に並行して認められ,外浜を構成するバーと沿岸トラフ(武田,2017)が隆起したものと考えられる.黒島漁港以南の海岸部にも同様な隆起に伴う外浜部の離水が観察される.
地震性隆起海岸の例は,岩石海岸に残された波蝕棚やノッチの存在から各地で認識されてきたが, 砂浜海岸の隆起例の記載は少なく,また今後の波浪による浸食で長く保存されないと予想されることから, ここに紹介する次第である.
写真撮影日:2024年5月22日 撮影高度:約300m.
(八木浩司・佐藤昌人・山田隆二)
文 献
武田一郎(2017):砂浜海岸.日本地形学連合・鈴木隆介・砂村継夫・松倉公憲編:地形の辞典.朝倉書店.294-295.
宍倉正展・行谷佑一・越後智雄(2024):第四報 2024年能登半島地震の緊急調査報告(海岸の隆起).地質調査総合センター.
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