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地学雑誌 2020 129巻 3号

2020 129巻 3号

モンゴル北部,フブスグル湖—西岸山地からの夏の景観—

モンゴル中央部の最北縁,ロシアとの国境に近い標高1645mの高原に,南北に伸びたフブスグル湖(Lake Khubsugul)は位置する.南北に約140km,東西に約35kmのサイズ(モンゴル第2位)をもつ淡水湖で,最大水深は262mに及ぶ.「青い水」に由来するその名前の通り,透明度の高さで知られる.標高ならびに緯度の高さゆえに,冬季には完全氷結する厳しい環境になり,かつてはトナカイの放牧などが行われるのみだったが,近年では夏期の行楽地として賑わうようになり,さらに冬季スポーツが流行しはじめている.8月中頃でも,写真撮影した快晴の翌朝にはブリザードに悩まされた.まれではあるが,雪豹の目撃談も頷ける.
 東北東約200kmのシベリア南部には,はるかに大きなバイカル湖がある.ともにほぼ南北に伸びるこれら2つの湖は,新生代後半のアジア中央部地殻に展張応力場が生じ,リフト化してできた湖である.フブスグル湖の形成は新第三紀末から第四紀はじめだったとされるが,未解明なことが多い.西側には3000m級の尾根をもつ急峻な山岳がそびえ,夏期でも雪を蓄えるその山容は欧州アルプスの景観に近い.先カンブリア時代原生代末から古生代カンブリア紀初期の堆積岩およびそれらに貫入した古生代花崗岩類などが露出する.これら岩石は,古生代に複数の大陸塊(シベリア,中国北半分,タリムなど)がそれらの間に存在した海洋を壊しながら衝突・合体して,アジアの中核を形成した歴史(中央アジア造山帯の形成史)を記録している.


(写真・説明:磯﨑行雄)


論 説

氷河地形調査と表面露出年代測定に基づく
 東南極宗谷海岸南部Skarvsnesにおける氷床後退過程の復元

川又基人・菅沼悠介・土井浩一郎・澤柿教伸・服部晃久

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2020, 129(3), 315.

DOI:10.5026/jgeography.129.315

高等学校理科「地学基礎」「地学」開設率の都道府県ごとの違いとその要因

吉田幸平・高木秀雄

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2020, 129(3), 337.

DOI:10.5026/jgeography.129.337

千葉市の地下2038mのテフラ層と
 房総半島の下部更新統黄和田層最下部Kd48の対比

宇都宮正志・水野清秀・納谷友規・小村健太朗・長井雅史

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2020, 129(3), 355.

DOI:10.5026/jgeography.129.355

三瓶火山から噴出した浮布テフラと阪手テフラの関係の検討(英文)

丸山誠史・山下 透・林田 明・平田岳史・檀原 徹

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2020, 129(3), 375.

DOI:10.5026/jgeography.129.375

白亜紀西南日本の前弧砂岩と後背地の経年変化
 —砕屑性ジルコンのU‒Pb年代測定—

長谷川 遼・磯﨑行雄・山本純之・堤 之恭

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2020, 129(3), 397.

DOI:10.5026/jgeography.129.397

短 報

谷川岳周辺地域におけるエコツーリズムの導入意義と課題

中岡裕章

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2020, 129(3), 423.

DOI:10.5026/jgeography.129.423

地学ニュース

平成30年度助成金報告(西日本豪雨関連)

  • 愛媛県西予市における肱川氾濫による洪水災害の実態と,
     平常時と災害時における四国西予ジオパークの対応
       目代邦康・長谷川修一・河本大地・柚洞一央

書評

  • 小泉武栄:日本の山ができるまで(藁谷哲也)
  • 西本昌司:東京「街角」地質学(谷 健一郎)
  • 岩田孝仁・北村晃寿・小山真人編:静岡の大規模自然災害の科学(道林克禎)
  • 新刊紹介

追悼文

  • 諏訪兼位先生の御逝去を悼む

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