南硫黄島は伊豆小笠原弧南端部に位置する無人の火山島である.島は直径約2km しかないにも関わらず,山頂標高は916mもあり,伊豆小笠原諸島のなかでは最高峰である.このため急峻な円錐状をしており,海岸沿いまで海食崖が迫っている.
火山地質的には溶岩やアグルチネートを主体とした成層火山であり,ソレアイト質玄武岩とアルカリ玄武岩の中間的な組成を示す.歴史噴火の記録はないが,福山(1983)は溶岩流や岩脈の熱残留磁化方位が正であることから,本火山の活動時期は古くとも数十万年とした.また未公表ではあるが,玄武岩から約3万年前のK-Ar年代も報告されている(Nakano et al., 2009).
南硫黄島は,北福徳カルデラと呼ばれる,伊豆小笠原弧最大級の海底カルデラ(16×10km)の南縁上に位置しており,海底地形の特徴から,南北に約50km,東西に約25kmもある巨大海底複合火山の一部であることが最近報告された(Minami and Tani, 2023).2021年8月に噴火した福徳岡ノ場も北福徳カルデラ内の後カルデラ火山である.
本写真は東北海洋生態系調査研究船「新青丸」を用いて実施した,福徳岡ノ場火山2021年噴火の緊急調査航海にて撮影したものである.
(写真・解説:谷 健一郎 2022年8月29日撮影)
文 献
福山博之 (1983): 火山列島, 南硫黄火山の地質. 地学雑誌, 92, 55-67.
Minami, H. and Tani, K. (2023): The Fukutoku Volcanic complex: Implications for the northward extension of Mariana rifting and its tectonic controls on arc volcanism. Marine Geology, doi:10.1016/j.margeo.2023.106996.
Nakano, S., Matsumoto, A., Ohta, Y., Nakamura, H. and Furukawa, R. (2009): K-Ar ages of volcanic rocks from Kita-Iwo-To and Minami-Iwo-To Islands. Abstract of the Japan Geoscience Union Annual Meeting, Chiba, Japan 2009 May.
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2023, 132(6), 451.
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Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2023, 132(6), 465.
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関東各地で検出された1.65Ma頃に降下した前期更新世テフラ
—SYG-Kd29,Ob3-Kd31Bの認定とその意義—
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技能を用いる農外就業とその変化—中国雲南省鶴慶県ペー族の1自然村を例として—
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