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地学雑誌 2024 133巻 1号

2024 133巻 1号

兵庫県豊岡市の「玄武洞」

約160万年前に噴出した玄武岩溶岩が,浸食・採掘されてできた洞窟.顕著な柱状節理をもち,マグマの冷却過程を想像することができる.1807年,江戸の儒学者・柴野栗山が,多角形の節理が亀の甲羅に似ていることから,霊獣・玄武にちなんでこの洞窟を「玄武洞」と名付けた.1884年,東京大学の小藤文次郎が,この玄武洞にちなんで「basalt」を「玄武岩」と名付けた.1929年,京都大学の松山基範が,玄武岩の残留磁化を測定し,地球磁場の反転を示し(Matuyama, 1929),古地磁気学の発展やプレートテクトニクスの確立へ大きな貢献を果たした.約258—77万年前の逆磁極期は「松山逆磁極期」と呼ばれ,最後の磁極反転はチバニアン期の始まりを示すことで知られる(Suganuma et al., 2021).2022年,ユネスコ世界露頭100選にも選ばれ,日本の地質学にとって重要な露頭である.玄武洞公園の許可を得て,360度カメラで撮影1)


(写真・説明:河合研志・佐藤友彦・庄司真史 2023年5月15日撮影)



1) https://s.insta360.com/p/529abe323a3fe013f80e522cc25376f0?e=true&locale=en-us [Cited 2023/9/26].


文 献

Matuyama, M.(1929): On the direction of magnetisation of basalt in Japan, Tyosen and Manchuria. Proc. Imp. Acad. Japan, 5, 203-205.

Suganuma, Y., Okada, M., Head, M.J., Kameo, K., Haneda, Y., Hayashi, H., Irizuki, T., Itaki, T., Izumi, K., Kubota, Y., Nakazato, H., Nishida, N., Okuda, M., Satoguchi, Y., Simon, Q. and Takeshita, Y.(2021):Formal ratification of the Global Boundary Stratotype Section and Point (GSSP) for the Chibanian Stage and Middle Pleistocene Subseries of the Quaternary System: the Chiba Section, Japan. Episodes, 44, 317-347.



論 説

新たな史料で判明した1854年安政東海地震における甲府盆地の震度

大邑潤三・加納靖之

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2024, 133(1), 1.

DOI:10.5026/jgeography.133.1

富士川河口断層帯から糸魚川–静岡構造線に至る伊豆弧衝突帯北西部の地殻構造
 —統合的地震探査FIST2012の成果—

藤原 明・渡辺俊樹・東中基倫・
阿部 進・伊藤谷生・狩野謙一・
佐藤 剛・阿部信太郎・津村紀子・
岩崎貴哉・武田哲也・山本玄珠・
佐藤比呂志・石山達也・小田原 啓・
原田昌武・小森次郎

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2024, 133(1), 23.

DOI:10.5026/jgeography.133.23

伊能忠敬の恒星観測と緯度

野上道男

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2024, 133(1), 49.

DOI:10.5026/jgeography.133.49

地学ニュース

回顧録No.20

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       板谷徹丸

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     ジオサイト12の提案(大和田正明)
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