大陸棚調査によって,小笠原海台が伊豆・小笠原弧へ衝突・付加していることが明らかとなった(小原ほか, 2015).地形的な高まりの衝突・付加により,日本列島が成長してきたと考えられているが(Taira, 2001など),本地域では現行の大陸(島弧)成長プロセスが捉えられたこととなった.小笠原海台の伊豆・小笠原弧の前弧への衝突により,衝突部の海溝軸の水深は3450 mであり,周辺の伊豆・小笠原海溝の最深部よりも約6000 mも浅所となっている.さらに本衝突により,小笠原海台西部には断層と解釈されるリニアメントが無数に発達し,衝突部の前弧斜面にはテクトニックに定置した母島海山(HS)が存在している(小原ほか, 2015).大陸棚の限界に関する委員会(大陸棚限界委員会)は,日本への延長大陸棚の勧告のなかで,小笠原海台西部の伊豆・小笠原弧への付加現象を認定し,小笠原海台西部を海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)第76条第6項に定める「海底の高まり」であると認定した.すなわち,小笠原海嶺上の日本の領土である父島・母島などの島嶼を起点とする大陸縁辺部の自然の構成要素であると認定した.
(小原泰彦・加藤幸弘・西村 昭)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), 675.
DOI:10.5026/jgeography.124.675
特集号「日本の大陸棚画定調査とその海洋底地球科学への貢献」巻頭言
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), 681.
DOI:10.5026/jgeography.124.681
大陸棚調査が明らかにした日本南方海域海底の地球科学的特徴(総説)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), 687.
DOI:10.5026/jgeography.124.687
海洋底地球科学における精密海底地形情報の役割—日本の大陸棚限界画定調査を例にして—
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), 711.
DOI:10.5026/jgeography.124.711
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), 729.
DOI:10.5026/jgeography.124.729
地殻構造調査結果を反映させた重力モデルによる西太平洋海域の地殻の密度構造(論説)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), 749.
DOI:10.5026/jgeography.124.749
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), 773.
DOI:10.5026/jgeography.124.773
太平洋プレート北西部およびフィリピン海プレートにおける大規模な地震波速度構造探査
―海上保安庁による調査結果―(総説)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), 787.
DOI:10.5026/jgeography.124.787
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), 813.
DOI:10.5026/jgeography.124.813
大東海嶺群海域海盆の形成・堆積史―北大東海盆,奄美三角海盆,南大東海盆の比較―(論説)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), 829.
DOI:10.5026/jgeography.124.829
反射法地震探査解釈による伊豆・小笠原弧堆積盆の地質構造と発達史(論説)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), 847.
DOI:10.5026/jgeography.124.847
口絵1:日本が大陸棚限界委員会へ2008年11月12日に申請を行った延長大陸棚
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), xvii.
DOI:10.5026/jgeography.124.xvii
口絵2:大陸棚限界委員会が2012年4月19日に日本に勧告した延長大陸棚
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2015, 124(5), xviii.
DOI:10.5026/jgeography.124.xviii