最新号

地学雑誌 2021 130巻 6号

2021 130巻 6号

大涌谷の現在

箱根は東京から西へ約100km,車や鉄道を利用すると2時間程度で到着できる観光地である.大涌谷は,年間300万人の来客があるとされる箱根を代表する観光スポットであるとともに,箱根火山最大の噴気地帯で,2015年噴火はここで発生した.この写真で見えるいくつもの噴気は,この噴火で形成された噴気孔から噴出している.約3500年前に発生した最新のマグマ噴火後に何回か発生している大規模な水蒸気噴火もこの周辺で発生している.観光地が潜在的な噴火中心であることから,大涌谷における噴火予知は喫緊の課題である.写真は2015年噴火の噴出中心である谷地形としての大涌谷と(手前),観光地としての大涌谷(中程),およびをこの地のもうひとつの観光源である富士山(奥)を展望したものである.


(写真:宮下雄次 2021年4月26日撮影;説明:萬年一剛)



特集号:水蒸気噴火のメカニズムと噴火予知への課題—最新の知見と火山防災—

Overview of the Special Issue
 “Mechanism of Phreatic Eruptions and Challenges for Eruption Forecasting:
  Latest Advances and Volcanic Disaster Prevention”

Kazutaka MANNEN, Yohei YUKUTAKE,
Ryosuke DOKE and Daiji HIRATA

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2021, 130(6), 719.

DOI:10.5026/jgeography.130.719

特集号「水蒸気噴火のメカニズムと噴火予知への課題
 —最新の知見と火山防災—」巻頭言

萬年一剛・行竹洋平・道家涼介・平田大二

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2021, 130(6), 725.

DOI:10.5026/jgeography.130.725

水蒸気噴火の発生場と噴火過程の観測—最近の進展と今後の展望—(総説)

行竹洋平・萬年一剛

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2021, 130(6), 731.

DOI:10.5026/jgeography.130.731

2015年口永良部島噴火の火山活動推移と避難の意思決定(論説)

井口正人

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2021, 130(6), 755.

DOI:10.5026/jgeography.130.755

火山の活動不安定評価における熱消磁現象の活用と噴火予測の可能性(論説)

橋本武志

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2021, 130(6), 771.

DOI:10.5026/jgeography.130.771

箱根山火山ガス組成による火山活動予測—火山防災への活用—(論説)

代田 寧・大場 武・谷口無我・
十河孝夫・原田昌武

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2021, 130(6), 783.

DOI:10.5026/jgeography.130.783

火山灰中の鉱物からみた水蒸気噴火のメカニズム(総説)

大場 司・井村 匠・南 裕介・
シャレザ サイディナ アンカサ

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2021, 130(6), 797.

DOI:10.5026/jgeography.130.797

地表面変位から推定される箱根火山浅部熱水系の構造(総説)

道家涼介・萬年一剛・板寺一洋

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2021, 130(6), 811.

DOI:10.5026/jgeography.130.811

箱根火山のマグマ・熱水系モデル(総説)

萬年一剛

Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2021, 130(6), 831.

DOI:10.5026/jgeography.130.831

地学ニュース

令和元年度助成金報告

  • 公開シンポジウム「Geohazard Symposium on Research of New Aspects
     of Geohazards and Challenges of Social Implementation」の報告
       大久保泰邦

令和2年度助成金報告

  • 微細構造観察から紐解く—陶器質有孔虫Sorites属の石灰化機序の解明—
       長井裕季子
  • 札幌市近郊の新第三紀後期火山群の形成史の解明と市民対象観察会の実施
       岡村 聡・宮坂省吾
  • 下部更新統塩嶺累層に記録された諏訪盆地・中信高原地域の
     成立過程と糸魚川 – 静岡構造線の活動との関係
       狩野謙一・宮坂 晃
  • 大規模斜面崩壊の発生時期と誘因に関する通説の再検討
       苅谷愛彦
  • 神奈川県に露出する鮮新 – 更新統中津層群から古津波堆積物の識別
       瀬戸大暉

書評

  • 石橋克彦:リニア新幹線と南海トラフ巨大地震「超広域大震災」に
     どう備えるか(鷺谷 威)

協会記事

  • 定時総会(令和3年度(第142回))
  • 理事会(令和3年度第2回理事会)
  • 令和2年度(第142期)事業報告書
  • 令和3年度(第143期)事業計画書

奥付