長野県・諏訪湖(面積12.8km2,平均水深4.7m)では,冬季に全面結氷して数日後に「御神渡」現象が現れることが多い.御神渡は夜間と日中の気温変化で湖氷が収縮・膨張を繰り返すと,亀裂部分の氷がせり上がることで生じる.古来から,その道筋は諏訪大社の男神(上社)が女神(下社)に会いに行った証であるとの伝説がある.また,御神渡が出現すると,その道筋によってその年の農作物の豊凶や景気を占う拝観式が執り行われてきた.
こうした諏訪湖の結氷日や御神渡出現日,拝観日の詳細な記録が1444年以降ほぼ連続的に残されており,過去574年間の冬の気候変動を知る貴重な史料として世界的にも注目されている.厳しい寒冬年には12月中に御神渡が出現することがあるが,暖冬年の場合,2月になって出現したり,御神渡ができずに明海となる.近年は温暖化の影響で湖が結氷しにくくなっているが,今冬(2017–2018年)は5年ぶりに御神渡が出現し,2月5日に八剣神社の宮坂清・宮司らによって拝観の儀式が執り行われた.写真では,湖の東岸から北岸(赤砂崎)にうねりながら延びる御神渡の様子がよくわかる.
(写真:宮坂 清 2018年1月31日撮影;解説:三上岳彦)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 439.
DOI:10.5026/jgeography.127.439
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 443.
DOI:10.5026/jgeography.127.443
関東東南部における気象観測記録からわかる19世紀幕末期以降の気候の特徴(短報)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 447.
DOI:10.5026/jgeography.127.447
1877年に日本に影響をおよぼした台風の復元(英文)(論説)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 457.
DOI:10.5026/jgeography.127.457
2013年台風30号(ハイエン)と2011年台風12号(タラス)の
過去120年間の類似台風との比較(英文)(論説)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 471.
DOI:10.5026/jgeography.127.471
パリ外国宣教会のルイ・フュレ神父
─彼の生涯と沖縄における科学的観測(1855-1862年)─(英文)(論説)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 483.
DOI:10.5026/jgeography.127.483
那覇(1856-1858年)におけるフュレ神父の気圧観測(英文)(短報)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 503.
DOI:10.5026/jgeography.127.503
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 513.
DOI:10.5026/jgeography.127.513
ヘボンの気象観測記録からみた横浜における1863-1869年の降水量変動(英文)(論説)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 531.
DOI:10.5026/jgeography.127.531
日記天候記録から推定した日本における19世紀前半の日射量変動(論説)
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 543.
DOI:10.5026/jgeography.127.543
Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 553.
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Journal of Geography (Chigaku Zasshi), 2018, 127(4), 565.
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